2026年に広がる「見えない検閲」:決済インフラがゲーム表現を左右する時代の話

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2026年現在、世界のデジタルコンテンツ市場は、政府による直接的な法的検閲ではなく、金融インフラを通じた「見えない検閲」という危機に直面しています。

ここで言う「見えない検閲」とは、クレジットカード会社や決済プラットフォームが、特定の表現内容を「レピュテーション・リスク(評判リスク)」や「企業倫理」を理由に排除し、結果として市場から締め出す構造のことです。

ハルネ
ハルネ

これ、法律で禁止されてないのに“買えない・売れない”にされるのが厄介なんだよね。

ユイナ
ユイナ

削除されるより怖いかも。存在しててもユーザーに届かないってことだよね。

特にインディーゲームや同人コンテンツの分野では、この「デジタル・デバンキング(口座凍結・サービス停止)」の影響が深刻です。2025年後半から2026年にかけて、この問題は個別対応ではなく、プラットフォーム規約そのものを書き換える段階へと移行しました。


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いま起きているのは「決済による統治」

現在のデジタル経済において、Visa、Mastercard、PayPalなどの決済網は、単なる支払い手段ではなく、実質的な公共インフラ(パブリック・ユーティリティ)のように機能しています。

これらへのアクセスを失うことは、デジタル市場における「商業的な死」を意味します。

決済プロバイダーは、加盟店であるプラットフォームに対して極めて強力な交渉力を持ちます。特定のコンテンツを「不快」あるいは「ブランドを毀損する」と見なした場合、決済停止を盾に削除や規約変更を迫ることが可能です。

この結果、法的手続きや公開の議論を経ることなく、一私企業の内部規約で表現の境界線が決められる歪な構造が生まれます。

ユイナ
ユイナ

つまり、法律じゃなくて“規約の段階”で終わるってこと?

ハルネ
ハルネ

そう。しかもその規約の背後に決済会社がいる。表に出ない力関係ができちゃうんだ。


1:金融インフラの「決済による統治」の常態化

2025年7月に発生したSteamおよびItch.ioにおける大量削除事件は、構造的圧力が臨界点に達したことを示しました。

金融インフラが表現の門番(ゲートキーパー)と化し、創作活動を制限している実態が、ここで露呈した形です。

決済側とプラットフォーム側の力関係

  • 決済プロバイダー:決済承認・拒否を握る。規約遵守を強制できる。

  • プラットフォーム:コンテンツを載せる場所を握るが、決済が止まると全体が終わる。

  • 結果:プラットフォームは「生存のために」決済側へ寄る構造になりやすい。

ハルネ
ハルネ

強いのは“流通”じゃなくて“決済”。蛇口を握ってる側が最強ってことか。

ユイナ
ユイナ

水道止められたら生活できない、みたいな話だね…。


2:2025年「夏のパージ」:SteamとItch.ioの規約的屈服

Steamの「Rule 15」導入と、その意味

2025年7月、Steamは規約改定を行い、「決済プロバイダーやカードネットワーク等が定める規則・基準に違反する可能性のあるコンテンツ」を禁止対象として明記しました(Rule 15)。

これは、Valveがかつて掲げた「違法や荒らしでない限り許可する」という方針からの事実上の撤退を意味します。

そして改定直後、数百規模の成人向けゲームがストアから削除されました。基準は不透明で、開発者には曖昧な通知のみが送られたとされます。

ユイナ
ユイナ

“可能性がある”でアウトになるの、怖すぎない?

ハルネ
ハルネ

基準が外部にあって、しかも公開されない。創作側は予測できなくなる。

Itch.ioの「デインデックス」も連鎖

2025年7月24日、Itch.ioは決済プロバイダーからの「危機的な圧力」を受け、NSFWコンテンツを検索・ブラウズから一斉に除外(デインデックス)しました。影響は推定2万点以上とも言われ、性的コンテンツだけでなく社会問題やLGBTQ+テーマを含む作品も巻き込まれたとされます。

ハルネ
ハルネ

削除じゃなく“見えなくする”のがまた厄介。存在しても発見されないんだ。

ユイナ
ユイナ

インディーで頑張ってる人は特に検索されないと厳しいよね…。


3:Collective Shoutの戦略:政府ではなく「決済網」を狙う

この大量削除の背後には、オーストラリア拠点の反対運動団体「Collective Shout」によるロビー活動があったとされます。

彼らは政府の規制ではなく、プラットフォームの急所である「決済網」を標的にする戦略を採用しました。

導火線となったのは『No Mercy』事件。批判と署名運動を経て、同団体はVisa、Mastercard、PayPal、Discover、JCBなどのCEO宛に公開書簡を送付し、決済停止を求めたとされています。

ユイナ
ユイナ

“売り場”じゃなくて“支払い”を狙うの、戦術として強すぎる…。

ハルネ
ハルネ

政治より早いからね。決済から攻めると企業判断で即効性が出る場合が多い。

決済各社は加盟店規約を根拠に厳格対応を示し、とくにMastercardの「Rule 5.12.7」のような条項が、コンテンツ選別の根拠として機能したとされています。

直接の圧力ではなく「既存規約の遵守」を求める形で、結果としてプラットフォームに自主検閲を促す構造が成立します。


4:AI時代の新戦線:AI生成コンテンツと「リアリズムのリスク」

AI生成コンテンツ(AIGC)の普及は、表現の自由を巡る問題に新たな複雑さを加えました。

2025〜2026年にかけて、決済側はAI生成の性的画像に対し、人間制作物より厳しい基準を適用し始めているとされます。

決済審査で求められる「技術的な縛り」

  • 自由入力プロンプトを避け、選択式UIにする(禁止語句の入力自体を封じる)

  • ユーザーの画像アップロードを禁止(ディープフェイク等のリスク扱い)

  • リアルタイムモデレーション+第三者監査+ログ提出

さらに2026年現在、最大のリスクは「写実性(リアリズム)」そのものにある、とされています。

実在人物に似る・過度にリアルだと、たとえ架空でもカード会社が一律ブロックする方向に動く可能性が示唆されます。結果として、開発者は非写実化・デフォルメを余儀なくされる、というパラドックスが起きます。

ユイナ
ユイナ

リアルにできるのがAIの強みなのに、リアルすぎると止められるのって矛盾してない…?

ハルネ
ハルネ

技術進化と運用リスクの衝突だね。結局、決済会社は“安全側な方に傾倒する”から過剰規制になりやすいよ。


5:日本市場の現実:DLsiteとJCB、そして「ガラパゴス化」

国際決済網による規制は、日本の同人・インディー市場にも影響を与えました。

DLsiteは2024年4月にVisa、Mastercard、American Express停止を発表し、2026年現在は主要ブランドとしてJCBのみが利用可能になっている、とされています。

JCBは日本の創作物に比較的寛容とされ、クリエイターの生命線になっている一方、海外ユーザーの利用が難しいことが「世界市場からの分断・隔離」につながる懸念も提示されています。

ユイナ
ユイナ

国内で買えても海外で買えないって、伸びしろを塞がれる感じする…。

ハルネ
ハルネ

市場が分断されると、作品の評価軸も流通も別世界になるんだ。長期的にはかなり痛いよね。

DLsite側の生存戦略

  • viviON JCBカード(自社ブランドカード)

  • みんなの銀行との直接連携(国際ブランドを介さない)

ただし、これらは主に国内居住者向けであり、海外の購入は難しいままだとされます。


6:法と政治の揺り戻し:米国の執行命令と日本のVisa介入

2025年後半、決済会社による金融排除への「揺り戻し」が起きます。

米国:Fair Banking執行命令(2025年8月7日)

「評判リスク」を監督指標から削除する方向性や、政治的・宗教的信念、合法ビジネスを理由に金融サービス拒否を禁じる趣旨が示され、デバンキングへの対抗軸として提示されます。暗号資産企業への排除(Operation Choke Point 2.0)終結も目的に含まれるとされます。

ハルネ
ハルネ

“評判リスク”って便利すぎる言葉なんだよね。そこを削るのは大きい。

ユイナ
ユイナ

曖昧な理由で止められにくくなるってことだよね。

日本:公正取引委員会(JFTC)によるVisaへの介入(2025年7月)

JFTCがVisaに対して改善を求め、確約手続の承認に至った件は、市場支配力の行使を制限する動きとして位置づけられます。

これは「ブランド保護」を名目に一国の市場慣習を押し付けることへの牽制としても読み取れます。

ユイナ
ユイナ

こういう“競争のルール”から攻めるの、現実的で強いね。

ハルネ
ハルネ

表現の是非で殴り合うより、独禁法の方が刺さる場面があるんだ。


7:DeFiと検閲耐性プラットフォーム:締め付けへの技術的対抗

既存金融システムによる締め付けへの対抗として、中央集権プラットフォームを介さない取引への回帰が進んでいる、という見立てです。

2026年、暗号資産は投機対象だけでなく、表現の自由を守るインフラとして再定義されつつある、とされます。

主な論点は以下です。

  • Solanaなど:第三者が介入して決済拒否することが技術的に困難

  • Midnight Networkなど:匿名性・プライバシー重視で個人攻撃の防壁にも

  • ステーブルコイン:価格変動の問題を抑え、決済用途に寄る

  • PayPal等も暗号資産統合を加速、という見通し

ユイナ
ユイナ

でも暗号資産って、一般ユーザーの初期設定が壁なんだよね…。

ハルネ
ハルネ

そこが最大の課題。だからステーブルコインやUI改善が重要になってくるね


8:表現の自由は「財布の自由」が支える

2026年に直面しているのは、単なる性的表現の是非ではありません。

文化的多様性と創造性を、一握りの多国籍企業が管理する「決済という蛇口」に委ねてよいのか、というデジタル社会の統治(ガバナンス)の問題です。

AIの進化で表現の可能性が広がる一方、流通経路が「ブランドイメージ」で狭められる皮肉は、今後さらに深刻化する可能性があります。

ただし、法的な揺り戻し(米国の執行命令)、日本市場の防波堤(JCB)、技術的自律性(暗号資産)など、希望の兆しも提示されています。

今後の注目リスクは以下の通りです。

  • AI生成物への新たな法的定義(疑似実写規制が強まる可能性)

  • 決済の二極化(主要市場と分散型市場への分断)

  • 国家によるインフラ保護(独禁法などで支配力を抑える流れが広がるか)

結論として、クリエイターとプレイヤーが取るべき道は、特定の巨大インフラへの過度な依存を避け、複数の決済経路を維持する「金融的レジリエンス(回復力)」を身につけることです。

表現の自由は、それを支える「財布」が自由でない限り成立しません。

この「情報の検閲」と「経済の支配」が交差する最前線を注視することは、現代に生きるすべてのゲーマー、そして表現者にとって重要だと言えるでしょう。

ユイナ
ユイナ

結局、作品がどうこう以前に“買えるルート”があるかどうかなんだね。

ハルネ
ハルネ

そう。だから分散と複線化が大事。依存先が一つだと、蛇口止められて終わっちゃう。

ユイナ
ユイナ

ゲームの未来って、技術だけじゃなくインフラの話でもあるんだな…。

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