ゲーマー目線で考える「DEI/ポリコレ」とゲーム脚本:コンコード・アサシンクリード シャドウズほか実例徹底解説

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はじめに──「多様性、これはやり過ぎ?」と感じたら

ハルネ
ハルネ

最近の新作って、キャラクター設定や台詞が急に“現代の社会運動ワード”だらけだったりするよね。

ユイナ
ユイナ

そうそう! しかも批判すると「レイシスト(差別者)」って言われることもあって、本音を言いづらい空気がある…。

近年のゲーム業界では DEI(Diversity=多様性・Equity=公平性・Inclusion=包摂性) やポリティカル・コレクトネス(以下ポリコレ)が強く意識されるようになりました。もちろん、多様な価値観を取り込むこと自体は歓迎すべき流れです。しかし、「ストーリーよりスローガンが前面に出ている」「世界観と合わない改変が増えた」「強制的な押し売りに疲れる…」 と感じる場面も増え、プレイヤー側にはモヤモヤが残りがちです。

そこで本記事では、“ゲームとしての楽しさ”と“社会的メッセージ”が衝突するポイントをゲーマー視点で整理します。流れは次の五段階です。

  1. まず DEI 表現がゲームに入り込む四つの経路を整理する

  2. 次に コンコード / Unknown 9 / アサシンクリード シャドウズなど具体例を検証する

  3. さらに よくある「やり過ぎ」パターンと失敗要因を分解する

  4. そして 逆に DEI がうまく機能した成功ケースを紹介する

  5. 最後に プレイヤーが感情に流されず作品を評価するチェックリストを示す

この5つを順に読めば、「個人の価値観を尊重しつつゲームの面白さを守るにはどう考えればよいか」が見えてくるはずです。


1. DEI 表現はどこからゲームに入るのか?──4つの経路を図解

まずは、どこで誰が“多様性チェック”のスイッチを押しているのかを把握しましょう。ルートは大きく分けて4つあります。

経路 具体例 ゲーム制作フローでの影響ポイント
① 社内ガイドライン SIEの「Character Diversity Policy」など 企画初期に必須要件として組み込まれ、キャラクターデザインやシナリオの方向性を最初から規定する
② 外部コンサル DEI専門の脚本監修スタジオ、チェックリスト α版シナリオをレビューし、「代名詞を追加」「背景を再設定」など具体的修正を提案
③ プラットフォーム審査 Steamの「攻撃的表現ポリシー」2023年改訂 審査に通らないと発売できないため、表現を緩和・修正するプレッシャーが掛かる
④ 助成金・文化基金 カナダ Creative Export Fund など 予算を獲得する見返りに、助成要件(多文化・多言語対応)を脚本へ反映する必要が生じる
ハルネ
ハルネ

つまり「開発現場の意思」だけじゃなく、資金・審査・社内規定といった外からの力も絡む構造なんだね!

ユイナ
ユイナ

そう。だからこそタイトルによっては、途中で“急ハンドル”を切ったような改変が起こるわけだよ。

この4経路を押さえておくと、「誰が」「どの段階で」「どんな理由で」メッセージを差し込んだのかを読み解きやすくなります。次章からは、実際に炎上や賛否を呼んだタイトルを具体的に見ていきましょう。

2. 実例で見る DEI 脚本の光と影

ここからは、実際に賛否が噴出した最新タイトルを取り上げ、「なぜ炎上したのか」「どこに改善余地があったのか」を具体的に読み解きます。なお、数値や日付は公開データを基にした近似値です。


2-1. コンコード──PV 60 秒で炎上した プロナウン(代名詞) &デザイン問題

  1. プロナウン 強調の“文脈欠落”

    • そもそも コンコード は 5vs5 の PvP シューターです。したがって、キャラクターの一人称や代名詞は戦闘とほぼ関係ありません。それにもかかわらず、自己紹介の第一声を they/them の宣言に充てたため、視聴者は「ゲーム情報よりイデオロギーを優先した」と受け取りました。

    • さらに、PV 内には「彼らがなぜ複数代名詞を使うのか」を示す世界設定が一切語られなかったため、“現実社会のコピー貼り付け”と判断されやすい構造になっていました。

  2. ポスター&UI の“研修スライド化”

    • 公式ビジュアルは「多様性」を示すアイコンを大量に並べ、かつ色味が淡いパステルトーンで統一されていました。この配色とレイアウトが DEI 研修資料や CSR レポートを連想させると揶揄され、ゲーマーなら誰もが期待する“ゲームらしい躍動感”が削がれました。

    • その結果、「ゲームプレイより PR 部門の資料を見せられている」という印象が強まり、低評価が雪崩を打ったわけです。

  3. マーケティング・チューニングの不足

    • PvP タイトルは通常、射撃感やマップ構造など コアゲームプレイを最優先で訴求します。ところが Concord は初報の 60 秒をメッセージ色に振り切り、“何を遊ぶのか”が不透明になりました。

    • 「コンバット映像を後で公開すれば誤解は解ける」という開発側の弁明も、ファーストインパクトが失敗すると二次情報は届きにくい というマーケの原則に反しています。


2-2. Unknown 9: Awakening──発売直後に同接 200 人を割った失速例

  1. スローガン台詞の“連射”で没入感を阻害

    • シーン転換ごとに主人公や仲間が「声を上げる力を恐れるな」「沈黙は共犯」という台詞を繰り返します。同じメッセージの反復は説教感を増幅させるだけでなく、プレイヤーが主体的にテーマを発見する余地を奪います。

    • また、セリフが英語でも日本語でも直訳フレーズのまま挿入されたため、ローカライズの文脈にもなじまず“不自然さ”が加速しました。

  2. 演説カットシーンによるテンポ破壊

    • 戦闘・パズル・探索の最中に 一分超の演説カットシーンが頻出し、操作が強制的に中断 されます。テンポ型アクションとして期待したユーザーはリズムを寸断され、ストレスが蓄積しました。

    • 開発者は「プレイヤーを静止させることでメッセージを伝えたかった」と語りましたが、結果として “遊ばせながら語る”というゲームならではの強み を手放す形になり、”思想の押し売り”感を強める結果となりました。

  3. マーケティングとのギャップ

    • 事前プロモーションでは超能力バトルや謎解きを押し出していました。ところが発売版ではメッセージ演出が主役になり、トレイラーと体験が一致しない という“裏切り”が発生しました。

    • さらに、Steam ストアページのスクリーンショットが演説シーン主体だったため「購入前に気づけたはず」「いや騙された」という二次炎上へ発展しました。


2-3. アサシンクリード シャドウズ──歴史改変と DEI 論争が衝突した最前線

  1. 史実舞台での“現代語スローガン”混入

    まず、城下町の町人が「正義は沈黙しない」「多様な声に耳を」などと叫ぶシーンが散見されます。しかし、こうした表現は 16 世紀日本の言語感覚とかけ離れているため、長年“歴史的再現×フィクション”を売りにしてきたシリーズファンほど強い違和感を覚えました。しかもスローガンは NPC のモブ台詞としてループ再生されるため、“戦国時代なのに現代デモの拡声器が鳴り響く”かのような印象を与え、冷笑を招く結果となっています。

  2. 日本人プレイヤーには特に不自然に映る描写

    加えて、日本国内フォーラムでは「武家と町人の敬語の混在」「当時存在しない漢語熟語の多用」「畳を靴で踏むカット」など、文化・所作の細部における考証不足が次々指摘されました。こうした“小さな齟齬”が積み重なることで、歴史ドラマの没入感が著しく損なわれています。

  3. 実在する神社を“破壊対象”とするクエスト演出

    さらに物議を醸したのが、実在の神社をモデルにしたマップオブジェクトを「破壊して潜入経路を作る」ギミックに利用した点です。宗教施設の破壊をエンタメ化したことに対して、国内外の神職団体や観光振興団体が懸念声明を出しました。「史跡をリスペクトしてきた過去作と方向性が真逆だ」との声も多く、シリーズのブランドイメージに直結する問題となっています。

  4. 無断盗用疑惑──関ヶ原鉄砲隊・東大寺などのデータ流用

    クリエイターコミュニティ経由で、「関ヶ原合戦図屏風を模した衣装パターン」や「関ヶ原鉄砲隊の旗印」「東大寺大仏殿の意匠」が公式許諾なくテクスチャに用いられている、という指摘も浮上しました。Ubisoft は「内部調査を行う」と回答したものの、文化財をモチーフにする際のライセンス手続きやクレジット表記の不備、問題発覚後の対応の悪さなどが、考証姿勢へのさらなる疑念を強めています。

  5. キャラクター設定の整合性不足

    黒人の家来・弥助の実在は史実ですが、忍者直江とタッグを組んで「多様性と共生の道を示す」というシナリオは史料的裏付けが希薄です。そのため「教育ドラマ的で説教臭い」と揶揄されました。Ubisoft は「弥助が織田の配下に迎えられた事実自体が多文化の証拠」と反論していますが、“多様性を証明するために追加創作を盛り込み過ぎた”という指摘は収まりません。

  6. 既存ファン vs 新規ユーザーのトレードオフ

    このように、シリーズ従来の歴史考証ファンほど違和感を抱きやすい一方、多様性を重視する新規ユーザーには好意的に映る可能性もあります。しかし、長期的な IP 価値を考えれば、既存ファン離れが甚大になればブランド毀損は避けられないため、どこでバランスを取るかが今後のカギとなるでしょう。

ユイナ
ユイナ

史実を舞台にするシリーズだからこそ、小さな考証漏れや現代語スローガンが目立っちゃうんだね。

ハルネ
ハルネ

しかも実在神社の破壊演出や文化財の無断流用疑惑まで重なると、批判が“DEIだけの問題”じゃなくなるのも当然だよ。


2-4. そのほか近年の注目事例

タイトル 賛否が割れた理由
Baldur’s Gate 3 すべての主要 NPC と恋愛可能という設計が「自由度」として評価された反面、濃厚な性的描写が「ファミリー共有に不向き」として一部保護者の監督論争を招いた。
Spider-Man 2 トランス女性 NPC 登場や聴覚障害ヒーローを実装した点、ユーザー Mod でプライド旗を削除したデータが BAN 対象になり、「表現の自由 vs 差別対策」の枠組みで再炎上。
Starfield プロナウン選択がキャラクリ段階で行えるため一部の層のRPGの没入度は向上。しかし主人公を指す NPC の呼称が文脈に合わないケースがあり「世界観に割り込んだ改変」と感じる層から賛否が分かれた。

このように、問題が顕在化するポイントは「世界観との整合性」「ゲームテンポ」「マーケティングとの一致度」の三つに集中しています。次章では、それらがどう“失敗パターン”へ繋がるのかを分解していきます。

3. よくある「やり過ぎ」パターンと失敗要因――4つの落とし穴を分解する

パターン 具体症状 失敗のメカニズム 典型的な副作用
① スローガン台詞の直貼り 主人公や NPC が “私は声を上げる”“沈黙は共犯”と説教口調 物語内で得た経験や感情ではなく、外部の標語を丸ごと移植するためキャラクターの芯が見えなくなる。 ・没入感の崩壊
・キャラ人気の不振
② 世界観無視の役職・用語 戦国日本で「ダイバーシティギルド」、中世ファンタジーで「ジェンダー平等評議会」 歴史やSFの固有設定と 現代の政治用語が衝突 し、作品の時代考証やロールプレイ整合性が破綻。 ・考証ファンの離脱
・舞台設定そのものへの不信
③ メインテーマ不在 PvP シューターで社会運動を長尺で語る ゲームジャンルが要求する“興奮”や“テンポ”を犠牲にしてまでメッセージを優先するため、遊びの動機付けが希薄になる。 ・レビューで「退屈」「説教臭い」評価が増加
④ マーケティングの見せ方不足 広告は理念ムービー主体、肝心のプレイ映像は数秒 購入前に “何を遊ぶタイトルなのか”が伝わらず 警戒心が先行。発売後に内容が想像と違うと失望が炎上へ直結。 ・初動売上ダウン
・低評価爆撃の誘発

4. 正しく機能した DEI 表現の成功例

タイトル 何がうまくいったか ポイントとなった設計
Baldur’s Gate 3 広大な選択肢の中にさまざまな恋愛・ジェンダー設定をプレイヤー自身が選択できるため“あくまでロールプレイ自由度” として溶け込み、高評価。 ・最初に“面白い物語と戦闘”を提示し、その後で多様性をオプションとして選ばせる構成。
・どのアイデンティティでもキャラ固有のセリフ分岐があり、「選んで良かった」実利が感じられる。
Apex Legends ライフラインやバリスティックなど多様な出自のレジェンドがいるが、プレイヤーの第一印象は “アビリティと役割” なので違和感が薄い。 ・キャラ紹介は必ず「ゲームプレイ特性→背景」の順で行い、性能と個性の因果関係が明確。
・背景ストーリーはロビーやコミックで深掘りし、戦闘テンポを阻害しない二層構造。
ユイナ
ユイナ

どちらも共通点は「まずゲームが面白い&多様性はあくまでスパイスとして使っている」ってことだね!

ハルネ
ハルネ

だから多様性は“選べる魅力”としてプラスに働き、説教臭さが薄れるわけだ。

 

5. プレイヤーが実践すべき“分離思考”チェックリスト

炎上にのまれず、作品を自分の軸で評価するためには「事実で状況を整理し、最後に感情で判断する」順序が不可欠です。そこで、次の五つを 上から順に 実践してみてください。

ステップ 具体アクション ねらい
① 公的文書を読む まずは助成金 PDF、裁判記録、監査報告など一次ソースを開き、「誰が・いくら・何の目的で」 資金や権利を動かしたのかを正確に把握する。 噂やまとめサイトを鵜呑みにせず、論点の出発点を事実で押さえる。
② クレジットを確認 次にスタッフロールや公式サイトで 外部コンサルや脚本家の名前 をチェックし、メッセージ改変の責任主体を特定する。 批判すべき相手(開発元・外注先・パブリッシャー)を取り違えない。
③ ハラスメントと批判を切り分ける 脅迫・Doxxing は 即アウト と認定しつつ、脚本やマーケ手法の批判は論点別に整理し評価する。 犯罪行為を断罪しつつ、建設的な批判まで封殺しない。
④ 数字を見る 売上、同時接続数、低評価率など 定量データを確認 して市場全体の温度感を測定する。 “声の大きさ”と“実際のユーザー離脱”を切り分ける。
⑤ 自分の価値基準で財布を開く 以上の情報を踏まえ、トレーラーや体験版で ゲームプレイと脚本方向性に納得できるか を最終判断。 事実を理解したうえで、好き嫌いを含めた“自分の決定”に落とし込む。
ハルネ
ハルネ

この5ステップを習慣にすれば、炎上に振り回されずに済むね。

ユイナ
ユイナ

ここまでやるかは個人の選択次第だけど、少なくとも感情に任せて加害者になったりしないように気を付けよう。


まとめ──「多様性」はスパイス、ゲームはメインディッシュ

  1. DEI が作品に入る経路 は〈社内ガイドライン〉〈外部コンサル〉〈プラットフォーム審査〉〈助成金〉の4ルート。

  2. コンコード・Unknown 9・アサシンクリード シャドウズ は、メッセージとゲーム性のバランスが崩れた結果、炎上を招いた。

  3. 対照的に Baldur’s Gate 3 や Apex Legends は、まずゲームが面白くキャラが立っているため、多様性要素が“自然な味付け”として機能している。

  4. プレイヤーは 一次資料と数字を確認し、ハラスメントと建設的批判を分離 して論点を整理することが重要。

ハルネ
ハルネ

ハルネ 多様性は料理で言えばスパイス。主役の“ゲームプレイ”が美味しければ、スパイスも生きるんだね!

ユイナ
ユイナ

正しい情報と冷静な判断で、これからも自分に合ったタイトルを見極めていこう!

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